卒業生からのメッセージ

社会で活躍する先輩が
今、高校生に伝えたいこと

今、社会はどう動いているのか。
どんな力が求められているのか。
システム理工学部の卒業生にインタビュー。
社会で活躍する先輩に、
「今、高校生に伝えたいこと」を伺いました。

専門性の融合が、
社会に変化を起こす

青い地球を未来につなぐ。それが私が所属する自然電力株式会社のパーパスです。現在は地球環境の維持を目的に、メガソーラーなどを活用した自然エネルギーの発電事業や電力供給事業を展開。電車やバスといったモビリティのEV化や蓄電池の開発、再生可能エネルギーを活用した企業誘致などの共創プロジェクトにもチャレンジしています。「100年先に青い地球を残す」と口で言うのは簡単ですが、エネルギーというひとつの専門分野、専門技術だけではそのビジョンを達成することはできません。エネルギー効率の最適化という観点ではITやAIなどの最先端技術が不可欠ですし、社会全体に普及しようと思えば都市開発や地域連携、人材育成や啓蒙活動にも目を向ける必要があります。年々、分野融合の重要性が高まるビジネスの世界。自然エネルギーの業界でも多岐にわたる分野の知識、経験が求められるようになっていますし、システム理工学部の課程制のように複数の専門性を横ぐしで学ぶことには大きな価値があると思います。

よりよい答えは、
自分の世界の外にある

どんなにクリーンで画期的な技術があったとしても、安定供給が難しかったり利便性に問題があるのであれば社会に普及することはありません。そういう意味では、自然エネルギーの活用というものは「地域」単位で捉えるべきだと思いますし、「再生可能エネルギー×自治体」「再生可能エネルギー×公共交通事業者」といった専門性の異なるプロが手を取り合うことで初めて踏み込める領域があると思うんです。仕事の醍醐味を一言で語るのは難しいのですが、異業種との交流を通して自然エネルギーの可能性、社会に大きなインパクトを起こす可能性がどんどん広がっていることは私の大きな励みになっています。現在の仕事で学んだことのひとつは、常に「自分の中だけに答えがあるわけじゃない。自分の外にもっといい答えがあるかもしれない」という仮説を持つことの大切さ。当社には約40ヵ国の人材が集まっているのですが、こうした多様性を重視しているのも「価値観のぶつかり合いから新しい価値が生まれる」という確信があるからこそ。専門分野が異なれば言葉や文化も違いますし、学生時代からコラボレーションの経験が積めることも課程制の魅力のひとつではないでしょうか。

やりたいことがないのではなく、
まだ出会っていないだけ

私は現在の仕事を天職だと思っていますが、高校生のころはやりたいことがわからず、システム工学部を選んだ理由も「なんとなく」でした。大学院修了後にコンサルティング会社に就職したのも「幅広い業種、幅広い事業に携わるなかで自分が夢中になれることを探したい」と考えたから。それでも悶々とする私の前に現れたのが、再生可能エネルギーの仕事でした。東京で生まれ、東京で育ち、東京で働いてきた私は、どこかで「日本は東京を中心に回っている」と思い込んでいたのでしょう。エネルギーの最前線が「地域」であること、日本が地域の積み重ねでできていることに改めて気づき、その可能性の大きさ、その自然の美しさに「これだ!」と思ったことは今でも鮮明に覚えています。私はたくさん迷ってきましたが、ムダなことはひとつもなかったと思いますし、「だからこそ天職にたどりつけた」とも言えるかもしれません。将来について迷うことは健全なこと。大切なのは、天職があると信じて探し続けることではないでしょうか。昔の自分に伝えたいことでもありますが、高校生のみなさんにはぜひ、若いうちから自分の外にある色々な世界に触れてほしい。そして思うぞんぶん迷って、この世界のどこかであなたを待つ天職を拾い上げてほしいと思います。

もしも佐々木さんが高校生だったら
どの専攻を選びますか?

私だったら情報課程のデータサイエンスコースを主専攻に選ぶと思います。もはや全員が学ぶべき領域だと思いますし、自然エネルギー発電所には大量のデータが蓄積されているため「これらを今まで以上に活用できたら」という想いも込めて選択しました。今はまちづくりに関わるプロジェクトも多いので、副専攻には環境・都市を選択。このふたつの知識を上手く融合できれば、社会に与えるインパクトがもう一段違ったものになりそうです。